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文書作成日:2023/09/20
認知症と公正証書遺言

今回は相談事例を通じて、認知症の方の遺言作成についてご紹介します。

Q
今月のご相談

 母には法定相続人として私(長男)と弟の2人がいるのですが、最近、私や私の家族と同居している母が私に財産を残すために遺言を作成したいといっております。
 ただ、母は軽度ではありますが認知症を患っており、主治医からは今後も症状は進行していくだろうといわれています。母には、今のうちに上記の内容にしたがって公正証書遺言を作成してもらいたいと考えているのですが、可能でしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 遺言者において公正証書遺言を含めて遺言を作成するにあたっては、遺言能力が必要になります(民法963条)。
 この遺言能力の有無は、遺言者の精神上の障害の存否・内容・程度、遺言者の年齢、遺言作成の動機や理由、相続人又は受遺者との関係といった諸般の事情が考慮されて判断されます。
 そのため、認知症であることをもって直ちに遺言者の遺言能力が否定されるわけではありませんが、症状の進行度によっては遺言能力がないと判断され、公正証書遺言を作成することができない可能性もあります。したがって、本件のような場合には、可能な限り早めに作成に取り掛かることをお勧めいたします。

A-2
詳細解説

 公正証書遺言を作成する場合、作成に先立ち公証人が遺言者の遺言能力を確認しますので、通常の自筆証書遺言による場合に比べて、相続開始後における遺言の有効性に関する争いの発生を抑えることが期待できます(ただし、公正証書遺言の方法によっても遺言者の遺言能力が欠如しているとして、当該遺言が無効であると判断されたケースもあります。東京高裁平成25年3月6日判決、東京地裁平成28年8月25日判決等)。

 そして、公証人による遺言者の遺言能力の確認方法については、公証人によって異なりますが、口頭で遺言者の氏名・生年月日、相続人又は受遺者と遺言者の関係、これから作成する遺言の内容の概要の聞き取りを行い、これらについて遺言者自身が理解できていれば作成可能と判断することが多いように思われます。

 したがって、お母様におかれまして、この点をクリアできるのであれば公正証書遺言を作成できる可能性があります。

 なお、相続人間で当該公正証書遺言の有効性について争いになる場合に備え、公正証書遺言作成当時における遺言者の医療記録の保管や公正証書遺言作成時における作成過程を動画にて撮影するといった方法により、当時の遺言者の遺言能力に問題がないことを裏付ける資料を残しておくことも、紛争の早期解決に向けて有用だと考えます。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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